忘れ形見

「詩なんて書いてるのが、なんか馬鹿らしくなっちゃった。そうだ。歌でも歌おうかな。ねぇ、そしたら聴いてくれる?」…

いちにちのおわり

この町には看板や標識が多過ぎて、処理しきれない情報量に忙しくなっちゃって、大事なものを見落としてきた気がします…

砂の城

白い砂浜 波打ち際の砂城が浚われていく 淀みない水面が 僕をじっと見つめて 心根を見透かしたような表情で嗤った…

43℃

浴槽の中で蛇口から垂れる水滴の音を数えていると、視界を覆う蒸気の向こう側から、肌色の宇宙人が私に話しかける。 …

透らずとも果敢なく

街路樹の下で猫が静かにくたばった。その横でCHANELの5番の香りを漂わせる眩しい女が、世界の終わりを見つけた…

冷めたスープ

冷めたスープを口に入れる。喉の奥に当たった所で不味いことが分かった。もう二度と食べないと思った。 冷めたスープ…

5021g

観客の居ない音楽会で、管楽器の音の波間に死体を埋めた。演奏中に指揮者の目を盗んで行った矮小な葬式では、CLAS…

e.g.

本質的に俺は孤独だ、と彼は言った。その言葉が癪に障った私は「あっそ。」と興味の無いふりをして、携帯を開いた。今…

ネット詩人

私が小学五年生のころ、Windows98のメモ帳に書いた小説もどきを紛失してしまった事が、今になって悔やまれる…

やくそく

山積みの書類を掻き分けて、埋もれてた婚姻届に手を伸ばす。にんまりと笑う彼女の顔を思い浮かべると、自然と笑みがこ…

ラン・ラン・ラン

ぐにょーん、ぐにょーん、とへんな足音で歩く可愛い女の子は「えいっ」と思いのほかふつうの掛け声で、河川敷を駆け出…

時間の

街灯が燃え尽きそうに、チカチカと不規則な点滅を繰り返していた。虫たちは居場所を探し求め煩い羽音を響かせる。 終…

ごっこ遊び

可哀想と言った君の表情は、投げやりでどこも見ていなかった。みんな死んじゃえばいいと嗤った君の表情に、僕は言葉を…