やさしさ倶楽部の後編

少しだけ僕に埃が積み重なって、息が生き返った頃、僕はゆっくりと目蓋を開き、耳を塞いでいた手を外した。 窓の外はやっぱりオレンヂ色に染まっていて、想像通りの時間だ。微かにポツポツと水滴が打たれるが音がする。 雨が降り出して...Read more

やさしさ倶楽部の中編

家に着くと、カップラーメンの腐臭が僕をやさしく迎え入れてくれた。閑散とした六畳間。窓が開けっ放しになっていたから、クリーム色のカーテンが僅かに揺れている。 僕は部屋に入るやいなやすぐに全裸になり、衣服を全て洗濯機にぶち込...Read more

やさしさ倶楽部の前編

僕は定位置に座り、ウサギの置き物をブラブラと揺らしながら、手足のない子どもたちが無邪気に砂場で遊んでいるのをボケーッと眺めていたら、隣のパンダの置物がガタンと揺れたので、視線をつすと八王子くんが血走った眼で僕を見つめてい...Read more

故郷の風はやるせないだけ

鳥が絞め殺されているかのような酷いさえずりで僕は目を覚まし、くそ暑い夏を迎えるべく窓を開けたが、爽やかなそよ風が部屋を吹き抜けただけだった。 仕方がないので布団をたたみ、爽やかな朝を演出すべく、朝食を作ろうと両開きの冷蔵...Read more