三、それは信号。

何色の絵の具で君を描こう。僕の趣味とはかけ離れた君だから、せめて線は細くしよう。瞳は入れないようにしよう。僕にはうまく書けないから。

決まったら画用紙に絵の具をぶちまけて、ぐしゃぐしゃにする。あくびをする間に、ピカソもびっくりな君が出来た。
ほら、この濁って汚い色は、どこか君に似てるでしょ。ほら、この瞳のない目で、僕を語れやしないでしょ。これじゃ君にはなり切れないけど、なんか僕に似ているね。それに満足して、僕は微笑んだ。

この辺でもう。
少しややこしいかもしれないけど、輪郭ぐらいは見えたと思ってる。いや、それを想ってる。ね、まだ幼稚な言葉遊びから抜け出せないでいるのは、僕はあの頃から変化はしても、成長してないから。

もう、■■して。

僕はあの頃からそう言っている。あの頃から意味もすり替わることなく、僕自身の見方に変わりもなく。それはたぶん、君にとって喜ばしいことなんだろう。絵ではわからなかったけど、実物の君は上機嫌だったしね。だって、嘘の癖して、口紅なんか塗っていたから。止めてくれとまでは言わないけど、似合ってないよ。そう僕が言うと、君は微笑む。かつて僕がそうしたように。重なりはしないけど、まるで記憶をもう一度映像にしているみたい。そう認識すると、喉の奥が酸っぱくなる。それはとても、懐かしい味がした。

コメントを残す