うつろなきぶん

夜道の街灯は、気だるそうに、ねじ曲がっていた。
ぼくは夜道の街灯に、こんばんはと挨拶をするけど、まったく反応がない。
だからぼくは、まるで口の中の水分を、口移しで奪われた気分になる。

その気分は、君らで言うところ憂うつは、ぼくだけに許された、そういう特別なものであるかのように思えたりする。
つまるところぼくは、旅行中の冷蔵庫で腐っていく野菜のような、そういう取り残された存在なのかもしれない。

近所の犬の鳴き声、大家さんの電話、コンビニの店員、ぼく。
それとなく約束された孤独感を、破ってしまえれば、冷蔵庫の野菜は腐らかったのだろうか。
だけど、ぼくはそれと思えるほど、大人とか子供とかにはなれない。

誰かがつくった小宇宙では、ぼくは上手に笑えなかった。
だから、孤独を握りしめて、こどくの意味もわからないまま、冷蔵庫の電源を落とす。

誰かがつくったはりぼてがいやだ。
なのに、みんなの言ってることがよくわからないまま、今日もひとつ屋根の下で、眠りにつく。

朝が 明日が こなければいいのに。

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