街灯が燃え尽きそうに、チカチカと不規則な点滅を繰り返していた。虫たちは居場所を探し求め煩い羽音を響かせる。 終わりを失ったかのような、どこまでも続くアスファルトの道を空っ風が伝っていき、街は大きな欠伸をした。それを待っていたかのように小石が少しだけ揺れて、アスファルトの凸凹に埋め込まれていく。雲は風に流され月は翳っていき、僅かな光が飲み込んでいった。全てを覆い尽くすかのような巨大な影が、ずるずると尾を引き摺り街を飲み込んでいく。その中で虫たちの悲鳴にも似た鳴き声だけが、音ととして形を保っていた。
寂れた商店街の向こう側に僅かに見える星や、雑草の下で眠りを探す片方だけの小汚い靴は、朧気な輪郭のまま、ただそこにある。そうやって時間は形を持ち、断片的に街中に散りばめられているからか、街の中心部に設置されている時計は、もう何年も前から同じ時間を指し続けたまま動いていない。澄んだ深夜の空気が薄く薄く伸ばされ、飽和していく。それと同時に行く宛を探す一羽の鴉は飛ぶことをやめ、電線の上でただ時計を眺めていた。鴉はカァー、カァーと笑って、役目を終えたように飛び立っていく。その先ではいつの間にか晴れた空が、鴉を迎え入れていた。
空はゆっくりと色を変えていき、街を覆っていた巨大な影は萎縮して、全てに平等に与えられていった。虫たちは飛び回って呼吸をする。透明に近いその色を、染み込ませていく。そしてそれらは、街が起きだす前に、時間の中へと微睡んで、見えなくなった。小さな小さな時間の中へと吸い込まれていく。あらゆるはじまりを、おわりを、内包して。錆びついたシャッターの開く音が、どこかで聞こえた。

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