耳を傾けて

ぼくが公園で這いつくばって蟻をいぢめていると、近所のババアの井戸端会議が耳に飛び込んできた。

内容としては 神を信仰すれば救われる だとか 鈴木さんの家もそのおかげで息子が就職した だとか そもそも鈴木さんの家に息子なんかいたっけ? だとか 私が信仰してる神はシヴァ神よ だとか あなたの信仰してる神はちょっと古いわよ だとか 最近の若い子は神の存在を信じていない だとか 神は7日で世界を創ったから一週間は7日なのよ だとか そもそも神とは人間が勝手に作った空想上の存在で私達は不都合な事象を神に押し付けてるに過ぎない だとか もし仮に神が実在していたとしても私達人間にそれは観測できないのだから存在しないことと同じである だとか いやでもこの地球という星に人間が誕生したのは奇跡的な出来事なのだから神の存在も否定しがたい だとか それは神がいることの証明にはならない だとか キリストを信じる者には永遠の命が だとか キリストってなんかファッションアイテムみたいな名前だよね だとかそんな話をしていた。

その間もぼくは蟻をいじめていた。
殺していた。
蟻にとってぼくは神さまだった。

蟻たちはきっと言ってるんだろう。

「神よ、我らを救いたまえ」

ぼくには聞こえない
ぼくには聞こえない

ババアたちの「神よ、我らを救いたまえ」という声が、ポツンと聞こえた。

2件のコメント

  1. 「神よ、我らを救いたまえ」

    その「ぼく」に、この私の声もきっときこえやしないのでしょうね。
    耳を傾けてもくれてはいないのでしょうね。

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