季節は

立ち尽くす彼女は、突然、真っ白な光に包まれた。

ビルの間から軍服を着た学生たちが走ってきて、無機質な銃をぼくたちに向ける。
傷だらけのホームレスのじじいが、ハァとため息をつくと同時に轟音が響き
防空壕で暮らす子ども達がビクッと震えた。

陽は凍えるように暗く、ぼくたちはただ音の中に溺れている。暴れ出したへいわな国が、名前を失う。もう何も失うものはないと言っていたホームレスが、最後のひとつを、失う。

立ち尽くす彼女の影だけがそこに残され、焼き尽いたような臭いに包まれる。

ゴホッゴホッと咳き込んだぼくの声に、子ども達はビクッと震えた。

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