「さよなら」と八王子くんが言った。
ワン、とポチ公が犬らしく吠えた。

夕焼けの光を、すべり台が反射する。

まーちゃんがだらしなく笑った。
三浦さんが携帯を落とした。

ひと粒ひと粒の砂がはっきりと見える。

雨野青は、蟻を踏み潰した。
子ども達がぶらんこに揺られていた。

終わっていく感覚。

飽和。

八王子くんが拾った小犬の頭には、3つの焼き跡があった。八王子くんが優しく伸ばした手を、子犬は噛み付く。
ポタリポタリと真っ赤な血が地面に吸い込まれていく。
八王子くんの表情のない顔に、やけにギラギラした眼が浮かんでいた。

ポチ公が漁る生ゴミの横に、ダンボールが置いてあり「ひろってください」と拙い文字で書いてあり、中には子犬が丸くなって眠っている。
ポチ公はダンボールの前に生ゴミをポツリと置いて、トボトボと去っていく。
汚れたポチ公の肉球が、うっすらと足跡を残していった。

まーちゃんがうさぎ公園で子犬と戯れている。子犬は感情の読み取れない表情で、まーちゃんを見ている。
まーちゃんはにこりと笑って「だれかに飼ってもらおうよぉ」と笑ってダンボールに毛布をひいて、子犬を入れる。
まーちゃんは「すてきな人に飼ってもらいなっ」と笑い、そっと子犬の頭を撫でる。
感情の読み取れない目が、じっとりと絡み付いた。

静かな家の前で、三浦さんが座り込む。キャンキャンと吠える子犬。三浦さんはハイライトを子犬の頭に押し付けて、じぃっと子犬を見つめていた。
三浦さんは「外は広いんだよ」と言って子犬の鎖を外す。
子犬は三浦さんが逃げるように走って、どこか遠くへ消えていく。
三浦さんは4本目の煙草に、静かに火を付けた。

ぼくが蹴り飛ばした空き缶が屋根の上に乗っかって、二度と落ちてこない。
同日。
その家の爺さんが発作を起こして狂ったように叫び、救急車で運ばれていった。同乗者も、救急車を見送る人もいなかった。
家主を失い静かになった家で、飼っていた小犬だけが異変を察知しソワソワしていた。

やるせない気持ちを取り残して

飽和。

This article has 3 comments

  1. い子 Reply

    そんなことより雨野青信者のみなさん、どうですかこの詞!ぜひぜひ感想を聞かせてください!

    いちばん
    魔球がひゅんひゅんって飛んできたから、さあ抱きしめるぞ!
    って勢いよく飛び出したはいいんだけど、なんと信号は赤だった
    横断歩道はチカチカと蛍光色で、危険を教えてくれてたらしいんだけど
    僕は色盲で世界が白黒映画みたいにもの悲し気だからわからなくて
    情けなく小便漏らしながら、あぁ今日はオムツ履いてくればよかった
    なんて軽い現実逃避を繰り返すぐらいしか出来なかったよ

    にばん
    携帯のバイブレーションはいい感じに僕のちんぽこを刺激して
    朝だってことを教えてくれるんだけど、そこには国境があるから
    朝の挨拶に困るんだ。ぐっーもにんとかはろーとか言ってみたけど
    なんか可愛いAAみたいに?マーク出されちゃって
    可愛いは正義だなぁと思いつつ下品にニヤニヤしては
    足首とかこっそりカッターで切って、唇を噛み締める毎日だよ

    さんばん
    愛しちゃったいんでとりあえず会いませんかみたいな挨拶をすると
    そうかそうだな頑張れみたいな難しい顔をするから
    洗濯機を回しながらああ薬でもやろうかなぁと
    バファリンを半分に割って優しさをそぎ落としてから
    目をつむって頑張って飲んでみるんだけど
    そしたら偏頭痛ちゃんが起きちゃってもう朝から晩までどんちゃん騒ぎ
    うるさいから僕も難しい顔をして、哲学を説いてみたけど
    またも文化と言葉の壁を感じたるばっかりだよ

    よんばん
    世界にふたりしかいなかったら、俺はそいつとは間違いなく
    付き合わないんだって心の中で三回ほど唱えてから
    自由帳に三行ほど書いてから喉を震わそうと脳みそに
    話かけてみると、やっぱブレインちゃんも恥ずかしいみたいで
    ああ、無理っすみたいな電気信号を10万ボルトばりに
    ビリビリ送るから俺は骨が透けちゃってああこいつの名前は
    今日からピカチューだなって考えてると、なんだか息が苦しくて
    おい呼吸器系仕事しろって心の中で言うんだけど
    やつらとは心が通じ合ってないから、さっぱり言葉の壁を感じるだけで
    なんだか思い出しては恥ずかしくなって、ほっぺ赤らめちゃった
    でも顔色わるすぎていまいち変化がわからないんだよ

    ごばん
    ゴルゴンゾーラが空を飛んでいる
    UFOは未確認非行少年だったのか
    まずは身分を確認しなさい
    警察はしっぽを振ってはねだってて超かわいい しね

    ろくばん
    レイチェル先生の英語の授業は
    日常会話からかけ離れすぎてて
    まったく役に立たない

    ななばん
    ラッキーなことがありません

    きゅうばん
    芸術的な爆発は果たして芸術なのかっていう議論を
    太陽の塔をつくったと名乗る工事現場のおっさんとしたが
    芸術の意味がいまいちわからないという結果に落ち着いた
    そんなことより下ネタで盛り上がった そしたら空から
    女性器が降ってきておっさんをぱくりと食べやがった
    びっくりしたが おっさんはよく見ると自分のちんこだった
    おっさんっていうか息子だった そういうのはナシだな

    じゅーいちばん
    人類は愛と平和を約束し、地球から飛び出した
    飛び出してみるとわかるが、太陽は冷たい光を纏いながらも、真っ赤で
    それはどう見ても、大きな赤信号にしか見えない
    ああ止まらなくては、と人間的な素敵な理性や本能が
    入り混じった不思議な混沌とした薄汚い感情が
    止まることを強要した 偉そうな人(地位名誉金持)は
    それを無視して飛び出したが 星くずに退かれて死んだ
    僕たちはただひたすらに、太陽が青くなることを待っていた
    が、待ちくたびれて振り返ってみると、
    なんと!地球は青かった

    地球は青かった
    僕は勢いよく君に飛び込む
    好きだあ!ばしゃーん
    けど
    途中で燃え尽きちゃって
    好きだって言葉が
    太陽なんかより
    真っ赤に光っていた

    おわり

  2. まーちゃん Reply

    わんちゃんの飼い主見つかったかなー

コメントを残す