無題


朗読 森川氏
音源 神性死神猫氏

例えばの話である。

私という存在は三分で作れてしまうインスタントなものだとしよう。
キッチンでお湯を沸かし、器に注ぐだけで受精する簡単なものだと。
そうして産まれた私は、いったいこの世界にとってどれほどの価値があるのだろうか?
別に思春期特有の干渉に浸っているわけではない。
私は幼い頃から、大真面目にこの疑問に悩まされているのだ。
大多数の人間はこの「生きている意味」だとか「生きる価値」だとか、こういった問題は中学を卒業するまでに解決して、大人への階段を一段上っているのだろう。
だけど私には、明確な答えを見つけられなかった。
そもそも答えなど誰も見つけていないのかもしれないけど、私はこの疑問を今でも抱かずにはいられない。
何故なら無意味に生き続ける勇気が私にはないのだ。
社会の歯車として、ただ毎日を繰り返すことを許容出来る器を持ち合わせていない。
だから、私は私のインスタントな人生に、意味を、価値を、要求した。

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