5021g

観客の居ない音楽会で、管楽器の音の波間に死体を埋めた。演奏中に指揮者の目を盗んで行った矮小な葬式では、CLASSICに或れない誰かの孤独が燃やされる。真っ青な光を灯して、散り散りに灰に変わって往く森羅万象が、其の熱量はも...Read more

e.g.

本質的に俺は孤独だ、と彼は言った。その言葉が癪に障った私は「あっそ。」と興味の無いふりをして、携帯を開いた。今思えば大人気ない対応をしてしまったと思うけど、正直そんなカッコつけた彼の態度には付き合い切れなかった。私はTw...Read more

ネット詩人

私が小学五年生のころ、Windows98のメモ帳に書いた小説もどきを紛失してしまった事が、今になって悔やまれる。誰にも見せることがなかった処女作。やっと年齢が二桁になったばかりの、その拙い文章に私の初期衝動が詰められてい...Read more

やくそく

山積みの書類を掻き分けて、埋もれてた婚姻届に手を伸ばす。にんまりと笑う彼女の顔を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれる。半分だけ記入されているその紙切れを眺めて、いまいち現実味のない未来に思い馳せて浮かれていた。あとは、僕...Read more

ラン・ラン・ラン

ぐにょーん、ぐにょーん、とへんな足音で歩く可愛い女の子は「えいっ」と思いのほかふつうの掛け声で、河川敷を駆け出す。 砂利道に転がった割れたガシャポンが、キラキラと夕陽を反射していて、どこにゴールがあるのか、なんていう問い...Read more

時間の

街灯が燃え尽きそうに、チカチカと不規則な点滅を繰り返していた。虫たちは居場所を探し求め煩い羽音を響かせる。 終わりを失ったかのような、どこまでも続くアスファルトの道を空っ風が伝っていき、街は大きな欠伸をした。それを待って...Read more

やさしさ倶楽部の後編

少しだけ僕に埃が積み重なって、息が生き返った頃、僕はゆっくりと目蓋を開き、耳を塞いでいた手を外した。 窓の外はやっぱりオレンヂ色に染まっていて、想像通りの時間だ。微かにポツポツと水滴が打たれるが音がする。 雨が降り出して...Read more

やさしさ倶楽部の中編

家に着くと、カップラーメンの腐臭が僕をやさしく迎え入れてくれた。閑散とした六畳間。窓が開けっ放しになっていたから、クリーム色のカーテンが僅かに揺れている。 僕は部屋に入るやいなやすぐに全裸になり、衣服を全て洗濯機にぶち込...Read more

やさしさ倶楽部の前編

僕は定位置に座り、ウサギの置き物をブラブラと揺らしながら、手足のない子どもたちが無邪気に砂場で遊んでいるのをボケーッと眺めていたら、隣のパンダの置物がガタンと揺れたので、視線をつすと八王子くんが血走った眼で僕を見つめてい...Read more

故郷の風はやるせないだけ

鳥が絞め殺されているかのような酷いさえずりで僕は目を覚まし、くそ暑い夏を迎えるべく窓を開けたが、爽やかなそよ風が部屋を吹き抜けただけだった。 仕方がないので布団をたたみ、爽やかな朝を演出すべく、朝食を作ろうと両開きの冷蔵...Read more

ポリカラス

毎晩夢の中ではぼくはマジでロマンチスで、3つの言葉でラブソングを歌っている チューニングの狂ったギターの情けない音で ラブ 壊れた ポリリズム を繰り返すポリリズム 世界の裂け目からヌメっと生まれた君が愛しくて、手を伸ば...Read more

ごっこ遊び

可哀想と言った君の表情は、投げやりでどこも見ていなかった。みんな死んじゃえばいいと嗤った君の表情に、僕は言葉を選ぶことを迫られた。 やけに冷たい夜風が窓の隙間から暴力的に押し寄せ、君はぎゅっと布団を握る。馬鹿みたいと吐き...Read more

パイプ椅子を投げつけて

ニコニコ動画に毎週決まった時間に雨野青が無音の中で踊っている動画をアップロードし続けている間にも、むかし一緒にチャンピオンを読んで爆笑していた梶原は就職していく。 ぼくが自分のブログを読んで「こいつオモシレー!」と笑って...Read more

例年より寒くなって

冬になると寒いなぁと思った。雪が馬鹿みたいに降って、皆がそれを見て喜ぶ。 冬になると寒いなぁと言った。皆がユニクロで買ったダウンジャケットを羽織り、雪を積み重ね遊んでいる。 冬になると寒いなぁと書いた。その手紙を送る宛が...Read more

ぼく以外ぜんぶ愛

冬の暴力的な寒さを余所に暖房でぬくぬくと過ごし、ひとり部屋の片隅でコーラの中にメントスを落としてニヤニヤしてる。 窓の僅かな隙間は、それは確実な悪意を持ってぼくの部屋に寒さを迎え入れた。 コーラに、落ちていくメントス。 ...Read more